出逢い

子どもと一緒に布団に入った時は、大抵早く目が覚めます。そんな日は、土手に出て、テンカラのキャスティング練習をしたり、散歩をしたりするのですが、その日はたまたま自作したルアーのテストをしようと、竿を持って、近くの河へ。汽水域なのでハゼが釣れると聞いて、最近流行りのハゼをクランクベイトで釣る、略してハゼクラに挑戦しようと、昨冬、小型のクランクもどきを自作していました。
とりあえずまっすぐ泳ぐように、投げてはラインアイを調整して、を繰り返します。ちゃんと底まで潜っているのか、よく分かりませんが、とりあえずフリフリと泳いでくれました。

すると、後ろにすっと自転車が止まりました。

「おはようございます」

と、おじいさんが声をかけて来ました。

「釣りですか?」と聞くと、

「あれだよ、テナガエビ!」

どうやら、私がテストしていた場所が、おじいさんのポイントだったようです。

縄張り争いか?などと考え出す前に、気の良いおじいさん、この土地で生まれて育って定年まで勤めて、今は年金暮らし、釣りが好きな者同士、話は弾みました。

するとおじいさんの自転車のカゴに、釣った魚を入れておく水箱らしきものが見えて、

「自作ですか」

と聞くと、自慢げに、拾って来た木を使っていて、こんな工夫もしてあると、色々と見せてくれました。まさしく江戸前のチャキチャキの釣り人でした。

私が、このルアーも自作であること、一生懸命作ったタナゴ浮きを鯉に持っていかれた話も聞いてもらって。

話すのが楽しかったのですが、申し訳なくなって来て、

「やってください」

そう言っても、おじいさんの話は続き、テナガエビの仕掛けから釣り方から、

「他の人に言っちゃダメだよ」と。

話を聞きながら、お手製の竿を手に取らせてもらって、竿を伸ばしながらセットされた仕掛けを見せてもらったり。やっと…というと変ですが、おじいさんは餌をつけて釣りを始めました、もちろん、色々と釣り方を説明しながら。

3本の竿に餌をつけ終え、最初に投入した竿をすうっとあげると、

「お兄さん、ほら、釣れたよ」

と、早速、釣り上げるおじいさん。私が心底驚いているのを、おじいさんも楽しんでくれているようでした。

潮が下がるまでやるそうで、私は、お礼とまたご一緒させてくださいとお願いをして帰宅、そんな日曜日の始まりでした。

買い出し、仕掛け作り

釣具屋が開くのを見計らって、息子を自転車に乗せて出発。日曜の朝はやっぱりいつもよりお客さんが多いようでした。お目当は小物用の安い竿と、教えてもらった仕掛けに必要なもので、手持ちがないものを少々。

帰宅後は、私なりのアレンジも織り交ぜて、ちゃちゃっと仕掛け作り。仕掛け作りって、楽しいですよね?

上の子は妻と習い事へ出掛け、その隙に息子を連れて河へ偵察。潮が引いているのでおじいさんのポイントでは釣りにならないはず、他に釣りが出来そうなところがないか、散歩がてらにブラブラしましたが、子供連れで、スニーカーで届くところにはポイントはありませんでした。

我が家の夕食は早く18時、18時の満潮に向けての上げ潮に釣りになるかどうか、また釣りに出られるかどうかは妻のご機嫌次第。






いざ実釣

時間は16時、なんとか家族4人での散歩に成功!
おじいさんは3本ですが、私は2本竿で仕掛けに餌をつけて投入。潮は上げ始めていて、なんとか釣れそうな感じでした。
後ろで、子供たちと妻がボールやら縄跳びやらで遊んでいます。それに、なんとなくプレッシャーを感じながら、またおじいさんの話を思い出しながら、一本目の竿をゆっくりと聞いてみます。すると、ビュンビュンと子気味良い引き味、抜き上げると、それは朝に見たのと同じ、テナガエビ、釣れたよーと後ろへ声をかけ、肩の荷を降ろし、餌を付け替えてもう一度投入しておきます。そして、二本目の竿を聞いてみると、さっきよりも重たい、手の長いオス、良型が釣れました。
良型オスのテナガエビ
良型オスのテナガエビ


その後も、やはり後ろ背にプレッシャーを感じながら、手返しよく小一時間で、大体20・30匹くらいでしょうか。余った餌は次に使えるかどうかわかりませんが、妻の了承を得て、野菜室の奥へ。






料理編

おじいさん曰く、ここの川はヘドロなんかなくて、砂地で綺麗だから、泥抜きなんかいらないよ、とのこと。
と言われても、濁った河なので、泥抜きすると結構な汚れが出るんだろうなぁと思いながらも、日曜の夕方の釣り、翌日以降に調理を延ばすのも億劫だったので、おじいさんを信じて強行突破です。
まずは水道水で念入りに念入りに洗います。そして、料理酒で締めて30分。そして、塩をたくさんまぶして。もみ洗いはトゲトゲで痛かったので、大きめのタッパーに入れてフリフリ、さらに濃いめの塩水に漬け込んで。これで下処理完了とします。
あとは余分な水分を拭いて、片栗粉をまぶして、揚げるだけ!おじいさんは面倒だから、フライパンでそのまま炒めて食べるんだそうです。

カラッと二度揚げして、塩を振りかけて。
テナガエビの唐揚げ
テナガエビの唐揚げ


いただきます。

とんでもなく美味しいというほどでもありませんが、とっても美味しかったです。私にとっては、1日の始まりから舌鼓まで、この上ない贅沢でした。

さらに改めて感じたのは、ハゼが美味しいことです。まだまだ小さく、今回の狙いではなかったので、キレイににかかったものは逃しましたが、針を飲んだものも多く、それらはキープして、同じく唐揚げに。
これからシーズンに入るハゼ!楽しみです♪