昨年はテンカラ用の和竿作りに挑戦しました。そして、なんとか、その和竿で魚をかけることができました。今年は、さらに、いにしえの知恵に寄り添うべく、古くからラインの素材として使われて来た「馬素」を使って、「撚り馬素」作りに挑戦です。

まずは練習から

これまでナイロンラインで撚り糸を作って、テーパーラインを作った経験はありました。その時は、どうしても手で撚ると不均一な部分ができてしまうので、料理用のハンドミキサーを使って、電動で撚り糸を作っていました。しかし、天然の馬素を使うとなると、強度的にハンドミキサーでは切れてしまいます。ですので、まずはナイロンラインを使って、手で撚る練習をしました。

参考にした情報

今となっては市販の撚り糸のテーパーラインも少なくなって来ました。ましてや、馬素を使ったテーパーラインは入手が困難です。
そこで、今回は先達のお力を拝借させていただくことにしました。

参考にさせていただいたのは、ブログ「長良川と郡上竿の世界」です。古い資料の研究、実際の馬素のテーパーラインの研究など、非常にきめ細かく突き詰められた情報が掲載されています。

撚り馬素の設計

馬素の1本の長さ

まず第一の難関は、馬素自体の入手です。上記ブログで紹介されており、「株式会社ハリミツ」の通販で手に入るとこが分かりました。また、馬素の長さも約90cmと揃っていて作業しやすそうです。

材料の馬素
材料の馬素

最終的には、こちらの商品を1パックと半分くらいで、約3.3mの撚り馬素が作れました。

撚り馬素1組の長さ

ナイロンラインを使用して何度も手撚りの練習をしました。その結果、1本90cmのラインを15本撚りにした場合、約60cmの撚り糸ができることが分かりました。この1組60cmを基準に設計していこうと思います。

テーパーの付け方

馬素の素材自体に余裕があれば、いくつかのパターンを作って試し振りをしたいところですが、何組も作るだけの馬素がないのと時間も限られているので、まずは当てずっぽうで、作ってみようと思います。
私の手先では、一度に撚る糸の本数は3本が限界でした。4本・5本と試してみましたが、糸が絡まってしまってうまくいきませんでした。この3本を基準に設計します。

1段目:15本60cm
2段目:15本60cm
3段目:12本60cm
4段目:12本60cm
5段目:9本60cm
6段目:6本60cm

これで、全長3.6mの撚り馬素ができることになります。私が作った和竿の長さが3.2mなので、大体良さそうな長さです。実際には馬素の長さのバラツキや撚り方によるバラツキなどが影響すると思われますので、最終段階で微調整したいと思います。

それでは実際に撚っていきます!

まずは基本となる3本撚りから

まずは3本の馬素の先を結びます。

3本の端を結ぶ
3本の端を結ぶ

馬素は切れやすいので結ぶ部分は湿らせてから締めこみ、馬素への負担を軽減します。

撚り方は、ナイロンラインで色々試してみた結果、太ももと手のひら全体でねじりながら撚るのが一番効率よく綺麗にできました。

撚り方
撚り方

左手で結んだ先を持ち、太ももの上で3本が重ならないように置き、手のひら(親指の付け根あたり)を押し当てて1本1本を捻りながら撚っていきます。まだ撚っていない部分がもつれやすいので、こまめにほぐしながら作業するのがコツです。
親指と人差し指で撚るやり方も試しましたが、少しずつしか撚れず、その分ムラになりやすい感じがしました。
撚りあがったら、撚りが戻らないように結びます。

この3本撚りのパーツを計23本作ることになります。気が遠くなります。

3本撚りを組み合わていく

撚り方には「普通撚り」と「ラング撚り」という種類があるそうです。参考にさせていただいたブログでは、古式テンカラ馬素の撚り方は、「ラング撚り」という撚り方になっていると分析されています。私もこのラング撚りで、やってみたいと思います。

15本撚りは、基本の3本撚りを3組み合わて9本撚りにしたものと、2組で6本撚りにしたものを組み合わせます。馬素は先の方が細くなっているので、この組み合わせていく段階で太さが均一になるように、馬素の元と先を互い違いに組み合わせて撚っていきます。
この要領で、12本撚り、9本撚り、6本撚りを作っていきます。

各段の編み上がり
各段の編み上がり

各段をつなぎ合わせていく

出来上がった各段の撚り馬素を順番につないでいく作業です。実際に撚って出来上がったパーツの長さは、全て60cmくらいになりましたので、長さの微調整は行わず、そのまま繋いでいくことにしました。

つなぎ目の結び方は、糸と糸をつなぐ結び方の定番、電車結びにしたいと思います。この際も結び目は湿らせて切れないように注意しながら締め込みます。

つなぎ目の電車結び
つなぎ目の電車結び

つなぎ目に漆(合成漆)

最後につなぎ合わせた結び目がほどけないように塗料を塗って固めます。本来は漆を塗ったようです。少し洒落っ気を出して、好きな緑色で飾ってみました。
結びシロを残したまま1回目。

結び目の塗り1回目
結び目の塗り1回目

切り落として二度塗り。

結び目の塗り2回目
結び目の塗り2回目

なんとか完成

全長約3.3mの撚り馬素の完成
全長約3.3mの撚り馬素の完成

無事に入手した馬素の範囲内で1本仕上げることができました。失敗しないかハラハラでした。まだ馬素が残っているので、もう1本、次はもう少し長めのものを作っておこうと思います。

おわりに

出来上がったとなると、次は実釣ですね。こちらはこちらで心配なのが強度の問題です。やはり、天然の馬素は、ナイロンやフロロカーボンと言った現代素材よりも弱く、引っ掛けてしまったりするともつれてしまったり、最悪切れてしまいます。できるだけ開けたポイントで実釣してみたいと思います。

練習で、太さの近いナイロンライン(1.5号)で、同じ撚り数のテーパーラインを作ってあるので、こちらとの振り比べもしてみたいと思います。

練習で作ったナイロン手撚りライン
練習で作ったナイロン手撚りライン

以上、撚り馬素の製作編でした。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。