テンカラ釣りのキャスティングは、フライフィッシングやその他の釣りのように、明確な名前で分類されていません。しかし、それらの釣りの分類に当てはめて説明することができます。今回は、そういった方法でキャスティングを分類していこうと思います。


投げる方向による分類

アップストリームキャスト

川の流れの上流に向かって、キャストすることを、アップストリームキャストといいます。テンカラ釣りは、川下から上流へ吊り上がっていくので、ほとんどの場合は、このアップストリームキャストになります。
対象となる魚、特にヤマメやアマゴは、流れの中を上流に頭を向けて定位して泳いでいることが多いため、魚の後ろからアプローチでき、より魚に気づかれにくくなります

クロスストリームキャスト

基本はアップストリームキャストになりますが、ポイントによってどうしてもそれができないことがあります。このクロスストリームキャストは、岸辺から流れを横切るようにキャストする方法です。この場合、後ろ側には木や岩があって、通常のキャストができないことが多く、下に記述します「ロールキャスト」を多用することになります。

ダウンストリームキャスト

文字通り、流れの上流から下流に向かってキャストする方法です。魚の頭側からのキャストになることが多く、より慎重に動くことが求められます。また、毛鉤を手前側へキャストして、流すにつれて自分から離れていく形になるので、キャストした直後は竿を立てておき、流れに沿って徐々に倒していきます。

アップクロス、ダウンクロス

これも文字通り、アップとクロス、ダウンとクロスの間のキャスティングです。







投げ方による分類

通常のキャスト

テンカラ釣りのキャスティングは、フライフィッシング同様、まずはライン・毛鉤を後ろへ跳ね上げるところから始まります。これを、バックキャストといいます。バックキャストして、後ろへラインが伸びきるまで、しっかりと竿を後方で止めて置き、そして前方へ竿を振り出し、またしっかりと竿を止めます。
バックキャスト・ポーズ・フォワードキャスト・ポーズの手順になります。特に重要で難しいのは、フォワードキャストへ入るタイミングです。しっかりラインが後ろへ伸びて直線になるタイミングです。後ほど、動画も紹介しますので、参考にしてみてください。

サイドキャスト

テンカラ釣りのキャスティングでは、竿を前後に振りますが、ある程度上側へのスペースも必要になります。この上側のスペースがない場合に、行うキャスティング方法です。理屈は通常のキャスティングと同じ動作を、横側に行います。通常のキャスティングとは、竿やラインにかかる重力が違うため、ただ同じように動作すればよいというものではありません。ラインが水面につくと竿の力が伝わらなくなるので、ラインが落ちないように竿を振る必要があります。






ロールキャスト

こちらは、自分の背中側にスペースがない場合に行うキャスティング方法です。通常のキャスティングでは、バックキャストを素早く跳ね上げるように行いますが、ロールキャストでは、跳ね上げるのではなくゆっくりと毛ばりを引き寄せるように行います。そこから、竿を前方に振り出してキャストを行います。この時に、ラインが丸く転がるように弧を描きながら伸びていくので、ロールキャストと呼ばれます。

その他のキャスティング

フォルスキャスト

偽りのキャストという意味になりますが、要は毛鉤を落とすまでに、自分が落としたい場所に安定して振り込めるまでに何度か空のキャスティングを行うことをいいます。毛鉤とラインが安定するまでの準備のキャスティングと思ってください。
また、濡れた毛ばりの水分を飛ばすということもこのフォルスキャストで行います。テンカラ釣りの毛鉤は、フックの重さにもよりますが、乾いた状態ではハックルの浮力によって水面に浮きます。しかし、ハックルが濡れるとゆっくりと沈んでいきます。毛鉤をしっかり水面に浮かせたい場合には、フォルスキャスティング(素振り)を行うことで、多少の水分を飛ばすことができます。






ラインのメンディング

メンディングとは修正するという意味で、ラインの位置を調整することで、毛ばりを不自然に引っ張ってしまわないようにすることです。
レベルラインを使用する場合は、ラインが細いため、ラインの重さによって毛ばりが引き寄せられる、いわゆるおつり現象は起きにくいといわれます。しかし、どんなに細いラインでも、水流を受けると、軽い毛バリを不自然に引っ張ってしまいます。そのため、レベルラインを使用する場合は、ラインより先のハリスと毛ばりだけが水面についている状態を保ち、かつ流れに逆らわないようにコントロールする必要があります。

テンカラ釣りの入門記事まとめはこちらから

テンカラ釣りの入門書



おわりにスペシャリストのキャスティング

最後に、テンカラの鬼と呼ばれる榊原正巳さんのキャスティングを見てみましょう。動画一本に上述したキャスティング方法がすべて盛り込まれています。まさに名人芸です。


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